地獄チャンネルと極楽チャンネル

住職のことば

地獄チャンネルと極楽チャンネル

 

あるところに、あの世が見れるテレビがございました。

男がテレビをつけますと地獄チャンネル極楽チャンネルと

二つの放送局がありまして、

まずは地獄チャンネルを見てみることにしました。

地獄というと恐ろしい世界と思いきやなんてことない

広い部屋に机がありまして、その上に美味しそうなご馳走が盛られておりました。

その周りに人がたくさん座られており左手は椅子にくくられ

右手には2メートル以上の長いお箸をもち

しばらくすると、地獄のお食事会が始まりました

ところが、前のもの隣りのものとの箸が絡み合い、鬼のような形相で

まわりのものどうしで、たたいたり、ののしりあったり、うばいあったり、

だれ一人として食事を口にできる人はいませんでした。

なるほどな、地獄って恐ろしい世界だなと男は納得し

次は極楽チャンネルを見ることにしました。

極楽とはえも美しい世界と思いきや

広い部屋に机がありまして、その上に美味しそうなご馳走が盛られておりました。

その周りに人がたくさん座られており左手は椅子にくくられ

右手には2メートル以上の長いお箸をもち

ほとんどが先ほどの地獄風景と同じでした。

ところが、ここからが違います。

そこに座っておられる方はニコニコと笑顔で 長い箸を使って前の方に「どうぞ、召し上がってください」

向かいの方がそれをいただきますと「お先にいただきました。あなた様もどうぞ」 と、

お向かい同士が箸につまんだ食事を相手に差し上げあっていたのです。

だからこそ、みんなが笑顔で円満な食事ができているのでした。

同じ世界であっても、相手を思いやる心、心のチャンネルを切り替えるだけで変わるんですね。

さて、今の世の中はどっちでしょう。

そういった思いやる心 慈しみあう心を自然といただけるのがお念仏です。

平和な世の中を祈念し 共にお念仏をもうしていきましょう。

 

 

南無阿弥陀仏

 

 

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